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INTERVIEW

口癖だった「社員は家族」社員の信用を失い、最悪の孤独を経験した社長の再起復活

「解体」
 "組み立てられているものや組織をばらばらにして、
全体の形やまとまりをなくすこと。"
ー大辞林 第三版よりー

都心を中心に進む再開発、
そして今後、より加速するであろうリフォームや空き家の改修工事。そこには常に不要な部分を取り壊すハツリ・解体業者の姿がある。

株式会社TRUSTもそのうちの1社だ。
代表は、野口拓也。ハツリ工事に関して彼に出来ないことはない。

それほどまでに技術に自信のある野口が、独立後に得たもの。
それは、計り知れない孤独。

職人とはこういうものだという勘違いが、気が付いたときには会社、社員との関係を文字通り解体していた。
それからの野口が取った行動、そして会社に起こった変化は、人材育成に悩む多くの建設会社に大きな気付きを与えてくれる。

主任は主任、職人は職人という色眼鏡


20代の頃の野口は、地元では中堅規模の解体工事会社にいた。
ただ先輩が働いていたからという理由で解体工事の雑用をやり始めたが、仕事はきつく身体は仕事に行くことを拒んだ。
毎朝嘔吐でトイレに篭りながら、
「人に指図されたくない、人の上に立ちたい」という思いが頭をよぎる。負けず嫌いな性格だけが唯一の救いだった。

それでも2年も過ぎれば入社当時10人だった社員は30名まで増え、
野口はいつの間にか職長として現場を仕切るようになっていた。
社内で主任同士の連携が強まる一方、
自分より立場が下の人間には目もくれず、
辛かった頃の記憶はどこか忘れ去っていた。
休憩の昼寝から目覚めると、
作業の過度な負担で現場から逃げ出す新人も多かった。

「あいつ、バックレやがって。裏切ったな。」

当時の野口は思いやりなど考える余裕はなかった。
主任以上の人間と、それ以外の職人。あったのは、勝手な偏見だけだった。

社員から下請けに。


30歳手前から34歳までの間、この頃は仕事をセーブした。
離婚を機に、子育てをしながらの毎日で、早朝から夜まで家を空けることは難しかった。
勤めていた会社は野口の状況を受け入れ、近い現場に割り当てる、休みを増やすなどの配慮をしてくれたという。
(自身の経験から、現在のTRUSTでは社員に子どもが生まれると1週間の有給休暇が取れるなどの制度導入に積極的に取組んでいる)

本格的に仕事へ復帰したのは娘が小学校に上がってから。
やるならば自分の力を試したいと、自ら下請けになることを申し出た。
下請けの職人と社員では待遇も全く違う。
それまで会社に守られていたことを痛感した。

経費は自分持ち、現場にも当然自家用車で行く。
電動ピックは中古屋で安く見つけた物を自分で修理して使った。
専属の下請けとして優遇はしてもらえたが、受け取った報酬は1人、また1人と入ってきた従業員の給料で消えた。
最初の4ヶ月、経費以外自分の手元に残るお金は無かった。

2年周期で辞めていく従業員

独立後も一心不乱に仕事に打ち込んだ野口だったが、ふとあることに気付く。
従業員の出入りは激しくなり、3年持たずして去っていく。孤独と寂しさが襲った。


「あれ...俺、仲間いねえじゃん。」

自分より下の人間を「仲間」ではなく、
面倒を見ているという感覚。
自分の言ったことと違うことがあれば一方的に叱っていた。
相手の理由を聞くこともない。
従業員のツイッターにはやる気の出ない仕事への感情や
野口に対する愚痴が書かれ、現場から事務所に戻れば
その日の出来事をシェアする間もなく職人たちは一目散に帰っていく。

野口の口癖だった「俺達家族なんだから」という薄っぺらい言葉は、誰もいない事務所で虚しく響いていた。
自らも最低だったと認める、当時。
「現場に行ってあれやれこれやれって言うのは簡単なんですけど、
それ以外、作業員としての技術を教えることはできても、人としての成長を助けることができなかった。
気が付いたらめちゃめちゃ孤独で、すっごい孤独で。
その頃からですよ、人との、従業員との関わりについて考えていったのは。
人も育てられないのに人数だけ増えちゃって社員は10人位になっていて、
尚更どうしていいかわからなくなりました。」

従業員と関わろうと思っても、どう関わっていいかわからない。
これは自分が変わるしかないと、野口は決心する。

人を信用しない、自分も信用されてない

偶然ちょうどいいタイミングで後輩からの電話が入った。
自己啓発の合宿研修に参加しないかという連絡だった。
野口はその場で行くと返事をし、その研修が人生を変えた。

孤独感の原因は、
これまで人を信用してこなかった自分自身。


「すごい衝撃でしたね。社員のことも全て疑ってかかってたんですよね。理由も聞かずに怒ってたのも信用していないからでしょうし。
信用していないんだもん信用されないじゃないですか。
悪く言えば人を利用しようとしてただけで、
一緒に共に歩もうと思ってなかったんですよね。
どうせまた新しいやつ入ってくるし、辞めていってもいいやとしか思ってなかった。

生き返らせてもらった感じでした。

それで研修終わってから、1人だけテンション高いまま帰ってきて、主任達呼び出して一緒に寿司食って。
当時 "野口工業" っていう名前だったんですけど、
『野口工業捨てたって良いんだからって、皆の頭文字取ってそれ名前にしたって良いんだよ』って
めちゃめちゃ熱く語ったんですよ。
皆この人大丈夫かって思ったらしいですよ(笑)やべえ研修行ったんじゃないかって(笑)
洗脳されて帰ってきていきなりどうしたと(笑)
すんごい苦笑いで寿司食ってましたけど、あの引き具合も衝撃でしたね(笑)」

その後の変化

それから野口は感情のままに怒ることを止めた。
1度我に返り、
「あれ、それってちゃんと説明したのかな?」
「あいつらは何でそういう行動したのかな。」
「ちょっと待てよ、本人だけじゃなく現場にも聞いてみよう。」
と、突発的な感情のままに行動することを止めた。

すると、ほぼ全ての問題がシェア不足から来ていることがわかったという。
今まで、「お前!これ違うだろ!」と咄嗟に出ていた言葉は、具体的にどう変わったのか。

「例えば、こういう話があったんだけどお前なんか知ってるか?とか。
こういうクレームが入ったんだけどお前はどう思う?実際どうだったんだ?と。
例えばその返事が "その通りです" と返ってきたら、
じゃあお前はその時どういう行動をするべきだったと思う?
その後どうやってフォローしていったら良いと思う?と、
自分で考えさせて自分の口からシェアしてもらうようにしましたね。

昔はクレームなんか入った日には...僕酷かったですよ。
そういうのが職人の世界なのかなって勘違いしていた。
未だに似たような人いっぱいいると思います。
昔の僕のようにめちゃめちゃ孤独感じてるんじゃないかな、そういう人。」

野口自身が変わり、社員を信用するようになったと周囲が理解を示したのは、
それから半年ほどが経った頃だという。

現在、独立して4年半。
幹部ミーティング、幹部抜きのミーティング、全体のミーティングと、
シチュエーション作りにも工夫を凝らし、社員の本音が出てくるようになった。
会社や上司の改善点など今まで怖くて言えなかったことも、
本人が思う仕事のやり方も。
初めての作業があれば、
現場から電話が掛かってくるようになった。
以前はそんな電話も掛けられなかったのだ。

そして自然と従業員の仕事への姿勢も変化する。
最近、19歳の従業員が野口に告げた言葉。
「現場ですごく仕事の出来る人からこんなことを言われたんです。すごく悔しい。
けど、それでも僕負けたくないんで。絶対その職人から仕事のスキル盗んで、自分のものにして帰ってきますから!」


野口社長のfacebookより。これは嬉しかったと笑顔で語ってくれた。

こう、泣きながら言われたそうだ。
やむを得ず退職する人間からもまた、
野口は感謝の気持ちを言ってもらえる存在となった。

ステップアップしたのは人間だけではなく、会社も。
専属の下請け業者というポジションから、
今年本当の意味で独立をさせてもらった。
ハツリ・解体業界のリーディングカンパニーとなることを目指して。
見えない瓦礫の山だった「野口工業」があった場所には今、
社長を含め一体となった社員達の手によって、
「株式会社TRUST」という仲間同士の「信頼」が構築されている。

人間は簡単には変われない。業界の慣習も簡単には変えられない。

だからこそ、自分の考え方を変えようと努力を始めた人から抜け出せる。必死でやっているのに伝わらない辛さや、孤独のスパイラルから。そして当たり前の枠から。

野口社長は赤裸々に自分の過去を語ってくれた。自分自身のダメだったところも全てだ。それは今、孤独で空回りしている過去の自分のような人へのメッセージなのかもしれない。

間違いなく言えるのは、野口社長が今仲間とともに未来を見据えて再スタートを切れたことだ。自分が変わり、会社が変わり、周囲にも変化が訪れている株式会社TRUST。
未来のハツリ・解体業界のリーディングカンパニーになる姿を今後も建設ビレッジでは追いかけていく。

(文・インタビュー/黒田実緒)

株式会社 TRUST  http://trust-hatsuri.com/

〒300-0501 茨城県稲敷市鳩崎1413-1
Tel:029-893-5850 / Fax:029-893-5851
事業内容:ハツリ工事、解体工事
施工対応エリア:関東一円

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