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INTERVIEW

たった一週間の工事でお客様が涙する。思い出を売るペンキ屋。株式会社絆

神奈川県相模原市にある、一軒の塗装会社。
株式会社 絆
壁一面に、顧客からのフィードバックが並ぶ。
その直筆メッセージのほとんどに、率直な想いが綴られている。
感謝、気付き、アドバイス、要望。
塗装工事で一番多いのは、外壁・屋根の塗替えだ。
そのたった一週間程度の工期の中で、
作業を行う業者に対し人はどれだけ心を開けるものだろうか。

仕上がりが気に入らなければ、
大半の顧客はものも言わずに去っていくだろう。


社内壁一面に掲示されているお客様からの感想・ご意見

自分が一生を過ごすかもしれない家のメンテナンスを、
そんな業者に頼むことは二度とない。

一般的な塗装工事を、
ただの「作業」から「お客様との思い出創り」に変えた、株式会社 絆。
その社内は感謝の声で溢れていた。

重要書類は「交換日記」

絆のオフィスには、分厚いファイルに閉じられた日々の日記が、何冊にも及んで所狭しと並ぶ。

開いてみると、そこには過去に工事を行った建物の施主と、
対応にあたった職人とのやり取りが記されている。





「昨日の日記に記載のあった隙間部分は、
本日対応致しました。ご確認ください。」

この交換日記には、
日々の作業内容とそれに対する顧客のフィードバックが載っている。
その日一日の作業を終えた職人が手書きで記入し、
施主不在の場合にはポストに投函しておく。
すると翌日、
その報告内容と実際に作業を行った部分の仕上がりを見た施主から、
コメントが書かれて返されるようになっている。

10年に一度、決して安くはない費用をかけて行う、家のメンテナンス。
その施工期間中、この交換日記が顧客との大切なコミュニケーションツールとなるのだ。


代表取締役である関直人は、こう語る。

「この取り組みを始めたのは、3年前です。
お客様との信頼関係を作ること、
またクレームを防止することを目的としています。

もともと工事現場、下請け工事などというのは、
営業が仕事を取ってきて工事が始まる。

そしてその期間中に次の現場が振られて
業者は工期に追われる。そして手抜き工事になる。
その繰り返しでした。」

「本来、営業マンとお客様との間にあった、
この部分はこうして欲しいといった要望も、抜け落ちてしまいます。
そうすると今度はそれを見られたくないが為に、
職人はお客さんとのコミュニケーションを避けるようになる。
やったやらないとか、その回答を濁す。
こういったことが日常茶飯事で起こっていました。

たった1、2週間の工事なのに、最終的にお客さんとの信頼関係が崩れて終わってしまう。
まずそこを解消するために、どうしたら良いかを考えました。」



「そして次にクレーム防止です。
うちの職人には、日頃から柔らかい対応を心掛けるよう
教育していますが、そうは言っても職人です。
怖い、話しかけづらい、そんなイメージは付き物で、
お客様は職人を目の前に、ここが塗れてないなど、
心では思っていても伝えにくい。

しかし交換日記という形であれば、
言わなくても書けるんですよ。
気になった箇所も翌日には対応できるんです。
この取り組みを始めて、
工事が終わった後のクレームがほとんど無くなりました。」


メールやLINEといった
テキストでのコミュニケーションが当たり前の今、
手書きで書かれた
「寒い中ご苦労様」
「缶コーヒー美味しくいただきました」
などの言葉を見ると、それだけで心が和む。

絆のお客様との思い出創りはこれだけではない。

お客様と職人の、想いが詰まったDVD

多くの業者が毎日の作業報告書と合わせて提示するのが
「工程写真」。
その日その日の進捗を写真で見せる。
絆の工夫はここにもあった。

それは工事完了後に贈られるメモリアルDVDだ。

作業工程を写真と音楽で一つにまとめ、映像の最後は、
工事が完了した後の建物の前で
施主と職人とで撮影した記念写真で締めくくられる。
人生を共にしてきた自宅が、
新しい外観に生まれ変わるその様子に、
涙する人もいるという。

「以前はギフトカタログをプレゼントしていたこともありました。
何か物をプレゼントしたいというよりは、その商品を選んでいる時間が楽しいかなと思ったんです。
でもやっぱり自社で事務員さんが作成してくれる手作りのDVDに優るものはありません。

ギフトカタログ自体への反響はそれほどありませんでしたが、
メモリアルDVDへのコメントは数多く寄せられています。
中には製作のアイディアまでくださる方もいて、
本当に嬉しい限りです。」


これらの取り組みを続ける中、職人に変化が起こる。

始めた当初、日報一つ書くことさえ仕方なくやっていた職人たち。
人への気遣い・配慮はとても十分とは言えなかったそうだ。
それが、交換日記で人に感情を伝える喜びを知り、
DVDやその後のアンケートで自分のやった施工に
お客様から直接感謝の言葉や
フィードバックをもらえるようになったことで、
現場での対応力に磨きがかかったという。

「うちの職人はどこへ行っても通用する自信がある」
そんな彼らを率いる関直人とは、一体どんな人物なのだろうか。

失敗と困難を超えて、本当の”絆”を見つけるまで。

関が塗装の仕事を始めたのは、中学を卒業してすぐ。

学校からの紹介だった工場での仕事が合わず、
訪れた職業安定所で提示された求人は、
当時月給18万の大工と、15万の塗装業。
大工は難しそうだったこと、
兄が既に塗装の仕事をしていたことが理由で、
自分もペンキ屋になることを決めた。

修業を積み、数年後、トラック一台を購入し、兄弟で独立を果たした。
最初は毎日のようにヒドい兄弟喧嘩を繰り返し四苦八苦しながらも、
18歳で月給30万は貰っていたという。
順調に現場をこなし、3年目には有限会社を立ち上げる。

その後、当時相模原市から飛ぶ鳥を落とす勢いで全国へ拡大していったリフォーム会社に
協力会社として参入、99.9%がその会社からの請負仕事となった。

しかし、仕事の調子が良い者にはそこにあやかろうとする人間が付きまとうのが世の常。

元請企業の営業の一人が、
自社の案件を別会社からのルートで請けて欲しいと言ってきた。
自分のポケットに金が入る仕組みだったのだろう。
その頃、そんな人間はうじゃうじゃいたという。

元請企業からの仕事は、依頼が見積に入っていようがいまいが、
「連絡があれば即対応」することでその機動力を買ってもらっていた関は、
ここで大きなミスを冒す。

業界のご法度である、
その営業からの案件まで引き受けてしまったのだ。

結果、それが元請企業本部の耳に入り、
10人以上の社員を抱えたままクビを切られるという
あってはならない惨事を招いた。

その後新規事業にも身を乗り出したが、
数年で経営不振に陥り、13年続けてきた会社の倒産を余儀なくされた。

30歳の誕生日が、目前に迫っていた。
そして、関はこの時既に3人の子供の父親だった。

「一週間、家から出られませんでした。
私はただ泣き続け、なぜもっと真摯に仕事に向き合わなかったのかと
ひたすら自分自身を悔やみました。

支払ができなくなったことで、身の危険を感じることも当然ありました。
住所を変え逃げることも頭を過りましたが、自分で蒔いた種です。
子供たちのことを考えたら
絶対に出来ないと思い留まりました。」

自分の何がいけなかったのか、何が足りていなかったのか。
見出した答えは、片時も忘れてはならないと、
出直すつもりで新たに立ち上げた会社の社名とした。

建設業から手を引いた兄ではなく、今度は自分が社長。
そして設立したのが「株式会社 絆」。

「どうせまた同じことを繰り返すんだろ」
周囲の信頼をぶち壊し、
それでも立ち向かおうとマイナスからのスタートを切って、半年。
社員は5,6人に増え、協力会社もできた。

そして、人生というものは誰しもが平等なのだろうか、
「ツケは必ず回ってくる」というその言葉の通り、
今度は自分に、跳ね返ってきた。

1400万の未払いが起こったのだ。

一度手を付けてしまった大規模工事は
中断することなどできず、やればやるだけ赤字になった。
始めて半年の会社がそんな大金をどうにかできるはずがない。
関がトップに立っていたこの時、
1社目を倒産させてしまったとき以上に、
よほど逃げ出したかったという。

しかし、社員の想いは違っていた。

「やりましょうよ、社長。」

その言葉が、関を奮い立たせた。

何度も銀行を回り頭を下げ、
やっと資金が借りられる信用金庫を見つけた。

社員全員で、振る舞いも、お客様への向き合い方も改め、
もっと地元に貢献しようと防犯パトロールも始めた。
これなら職人の強面なイメージも逆手に取って役に立つ。

こうして過酷な運命を社員たちと共に乗り越えてきたからこそ、
本当のお客様との絆、
地域との絆、
仲間、家族との確かな絆が、
ここに育まれていったのである。

絆の描く未来図

創業から8年が過ぎた現在、
2500棟以上の施工実績を持ち、初期のお客様がリピーターとなって、
メンテナンス依頼が少しずつ入り始めているという。


同社のチラシは親しみやすく、ユニークで人気

一つ一つの施工に細やかな心配りを忘れず、
お客様の笑顔のために
ユニークな工夫や努力を惜しまないその姿勢を前に、
同社のリピーターになってしまうのは
当たり前なのかもしれない。

記事冒頭にも書いた通り、
施主にとっての人生の一大事を責任を持って共有し、
それを素晴らしい思い出に変えていく同社。


今後は人事採用も積極的に行い、ハンディキャップ雇用の取り組みも開始する。
ハンディキャップのある方々の雇用については、
建設職人甲子園の取組みの中で質問を受けて初めて気づかされ、
実践に移すことにしたそうだ。

同社のことが気になる方は、
ホームページの求人案内ページを確認してみてほしい。
そこには同社の職人・社員への想いが記されている。
株式会社絆はまず職人を輝かせ、
輝く職人が誇りを持って仕事をし、
お客様に満足と期待以上の思い出を創る仕事ができる会社だ。

職人の技術向上のために定期的な技術講習を行い
若手職人も力をつけていける土壌が用意されている。
現場で即戦力として働きたい!もっと成長したい!そんな塗装経験者も
絆の様々な取り組みの中でさらに磨かれるに違いない。

初めて関氏を見た時、失礼ながら強面で少し怖かったのを覚えている。
しかし、インタビューを終えた後、
悔しいかな、そのギャップに驚いた。
彼の実直さや人を想う優しさ、
そして笑顔のファンになってしまったのである。

自分が前に前にと出て行くことよりも、
自社の職人さん方に光を当てようと、そっと後ろで見守っているタイプの穏やかな人柄を感じた。

そんな関氏に背中を押されて、
職人方はどんどん魅力を発揮していくのだろう。
2016年の建設職人甲子園全国大会では、
全社一丸となって熱い気持ちを多くの人々へ届け、見事優勝を果たした。

町田にも支店が立ち上がり、さらに絆イズムは広がっていく。
これまでの経験を糧にして、新天地のお客様や地域とも強い信頼関係を築いていくことだろう。

株式会社 絆がペンキ一つでどんな眩しい未来を描くのか、今後の動きにも目が離せない。

(文・インタビュー/ 黒田実緒)

株式会社 絆 http://www.kizuna-co.com/

本社
〒252-0137 神奈川県相模原市緑区二本松3-44-10
TEL: 042-703-4211  FAX:042-703-4255
町田支店
〒194-0030 東京都町田市木曽東3-34-35長谷川ビル301
TEL:042-851-9623  FAX:042-851-9625

【事業内容】 塗装工事、防水工事、建築工事、シーリング工事、アスベスト処理、ダイオキシン処理、産業廃棄物処理、
その他リフォーム全般

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