就労支援を活用して人財採用を行う方法

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就労支援を活用して人財採用を行う方法

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[2018/04/05]

人財採用に近年注目されているのが就労支援。就労支援とは刑務所出所者や、保護観察対象となっている方を雇用する取り組みで、政府もこの取り組みに本腰を入れ始めて雇用する側のための様々な支援制度も整いつつあります。
今回は、まだあまり知られていませんが、人財採用の一つ「就労支援」の仕組みや、取り入れた時のメリット/デメリット、本格的に導入している会社さんの実例などを交え、栃木県にて行われた協力雇用主研修会の取材内容と共にお届けします。

株式会社足場ベストパートナー代表取締役伊藤大輔氏

伊藤:就労支援の仕組みは下記イメージをまずご覧ください。

刑務所や少年院内にいる方を対象に面接採用活動を行うのが就労支援の取組みです。ハローワークや保護観察所を中心に保護観察所の保護司さんと様々な機関が協力して採用や採用後支援が行われます。

足場ベストパートナーでは、採用面接への同行や、採用後も個人面談などを通して安定して会社に定着してもらえるよう、足場工事会社経営者と一緒になって人財定着のためのサポートをしています。

就労支援って一体なんだ?

 

建設業の会社さんが就労支援を取り入れるメリット

 

 

栃木県にて行われた協力雇用主研修会
栃木県にて行われた協力雇用主研修会

就労支援の中身や目的を理解して、採用活動を行う会社を「協力雇用主」と言います。犯罪歴のある方の自立と社会復帰に協力することを目指すのが目的ですが、雇用する側のメリットとしてどのようなものがあるかというと、

①一般的な求人広告よりも反応は多い

②施設内で職業訓練を受けた技能のある人財も多い

③人として会社として、大きな社会貢献活動の一つになる

④国からの奨励金や身元保証制度が活用できる

特に建設業の会社にとってメリットが大きいのが、資格や技能のある人財が採用できるチャンスがあることです。刑務所や少年院では建設機械の運転教育や、玉掛け講習など、各種職業訓練が行なわれているので、完全な未経験者の採用よりも即戦力に近い人財がみつかる可能性はあります。また就労支援に協力する協力雇用主への国からの補助制度も実際に支給され活用され始めています。

就労支援を導入するメリット1建設業には直接関連してくる 公共工事入札時にも評価の対象になります

法務省発注の刑務所や矯正施設に関する工事の一部入札時に、刑務所出所者等の雇用実績があると、評価の対象となります。地方公共団体によっても公共工事の入札の際評価しているところもあり、仕事に直結して関連してくるポイントとなります。

就労支援を導入するメリット2奨励金制度も整ってきています

①就労・職場定着奨励金

最長6か月間、月額最大8万円が支払われます。

②就労継続奨励金

雇用6か月経過後、3か月ごとに2回、最大12万円が支払われます。

③身元保証制度                                        

雇用した日から1年間、刑務所出所者等により損害を被った場合に、 一定の条件を満たすものについては損害ごとの上限額範囲内で 最大200万円の見舞金が支払われます。

④トライアル雇用制度

試行的に雇用して、最長3か月間、月額3万円が支払われる制度※

⑤職場体験講習

刑務所出所者等に実際の職場環境や業務体験をさせた場合、 講習依託費として最大2万4千円が支払われます。※

※④・⑤は社会保険へ加入していることが条件となります。

国や、地方公共団体、民間のNPO法人などによる刑務所出所者等の就労支援活動が活発化してきて、さらに整備が進んでいくものとみられます。

 

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就労支援のデメリットもしっかり理解が必要

 

協力雇用主として採用をするところまではうまく行っても、その後の人財定着で大きな壁がありますので、その現実も理解いただいた上で就労支援に取り組むことが必要です。

 

就労支援を導入するデメリット1再犯の可能性もあり定着が難しい

栃木県就労支援事業者機構 会長 青木氏
栃木県就労支援事業者機構 会長 青木氏

就労支援で一番の課題が「再犯」や、職場に慣れずすぐに退職してしまうことです。

この後、就労支援を導入している株式会社 山上建設さんの事例をご紹介しますが、採用した後に問題を起こして、再び刑務所へ入ってしまい裁判所への出頭を求められるケースもあります。

職場に慣れず辞めてしまう事は刑務所出所者でなくても有り得る事ですが、特に目をかけ、声をかけ、常に会社の一員として人としてコミュニケーションをとる事が大事になってきます。保護観察所にて保護司を務める方のお話では、刑務所出所者の多くは行く場所が無い、話せる相手がいないなどの状況にいます。そういった環境を理解して根気強く接することが協力事業者には求められるのです。

 

就労支援を導入するデメリット2社内外の反対があることも多い

社内外からの反対の声も少なからず出てくるでしょう。

「その人って怖くないですか?」「どう接したらいいですか?」「問題を起こしたらどうするんですか?」など、刑務所出所者に対する反応は人それぞれです。本気で長く雇用し、安定的に定着してもらうためにも、社内外への説明や理解を得るための話し合いは必要となります。

 

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就労支援で人財採用している事例

 

 

協力雇用主研修会にて講話を行う株式会社山上建設山上様

実際に就労支援から人財を雇用してきた経験のある株式会社山上建設さんの事例をご紹介します。

今回、栃木県で初めての協力雇用主研修会がとちぎ男女共同参画センターで行われ、株式会社 山上建設代表取締役 山上氏もその壇上で講話を行いました。

講話の中では、自社の経験談が成功事例・失敗事例を交えて赤裸々に語られ、参加者の協力雇用主の皆さんはもちろん、保護観察所所長や、保護司、就労支援機構の方々も話に聞き入っておられました。

 

成功事例アイコン

 

株式会社山上建設での成功事例 Aさん:雇用後に一度再犯してしまうが、山上氏が裁判所にて情状証人として出廷し、罰金刑のみで出所となる。その後再び雇用し、現在は仕事への責任感も持ち、後輩の育成にも積極的に自発的に動いてくれるようになり、会社になくてはならない人財へ成長。家庭も持ち安定した第二の人生を歩んでいる。

 

 

失敗事例アイコン

 

株式会社 山上建設での失敗事例:6名中5名が再犯や、離職となっている。仕事に来ずに行方不明になってしまった例もあり、通常の採用以上に難しく、どのように改善すべきかを現在模索中。成功事例は上記Aさん1名のみ。

 

 

 

山上氏は成功事例よりも、失敗事例の方が多く、就労支援からの人財定着は課題があるとした上で、講話の中で「人がいなくて悩むよりも、人がいて悩む方がいいと思った」という非常に前向きな考えで今後も人財採用に際しては就労支援を活用していく方針は変わらないそう。

講話の中では、「何度も再犯してしまう人について、どこまで再雇用して支援し続けるべきなのか?」など協力雇用主だからこそ抱える悩みも意見交換されていました。

 

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就労支援で職人さんを採用したい。まず何からすれば?

 

就労支援を取り入れる5ステップ

ABP代表伊藤氏

伊藤足場ベストパートナー(ABP)にご相談いただけば、求人票の作成段階から刑務所への面接同行、採用後の個人面談や日報ノートのやり取りなど定着のサポートをすることも可能です。就労支援からの人財採用に興味はあるけど、一人で就労支援を一から取り入れることに不安があるのであればお気軽にABPへご相談下さい。また、就労支援だけでなく、他にも多くの職人さん求人ノウハウをお伝えできますので、御社の求める人財にあった方法で一緒に良い人財を探しましょう。

 

 

 

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足場工事業界は夢が持てる業界だと伝えたい

 

 

足場工事業界は夢が持てる業界だと伝えたい

伊藤:足場工事会社の良いところは、頑張れば独立して会社のトップにもなれる。スキルは身につくし、足場は工事に絶対になくてはならないので、この仕事が無くなることはないんです。なくてはならない重要な仕事ですから、仕事はキツいですがしっかり稼げます。

稼いで、独立して、例えば足場資材の減価償却が終わったら、別事業を起こしたりしてやってみたかった夢にもチャレンジできる。夢を実現できる業界だと思うんですね。

刑務所に入っていたから、もう人生に夢を持てない、、と肩を落とす必要はないんです。 ABPでは職人さんを大切にする優良施工企業さんにご参加いただいているので、そういった良質な足場工事会社さんに雇用してもらい、人生を本気でやり直したいと考えている人には頑張って働いて夢を叶えてもらいたい。

足場工事会社さんにとっては技能を持っていたり、若くて働き盛りの人財を採用して自社の発展に活用してもらいながら、社会貢献活動もできます。「刑務所」や「保護観察」などの言葉を聞くと少し身構えてしまうのも正直なところだと思います。でももし、人財採用に課題があったり、何か社会に役立つことをしたい、と考えている方であれば「就労支援」をご検討いただくのはお勧めします。就労支援の取り組み方を0から一緒にやっていけますので、少しでも興味があればご連絡ください。

ご連絡先はこちら 03-3278-8660

本社:東京都中央区日本橋3-2-14 日本橋KNビル4F   

支社:愛知県名古屋市中区錦3-1-6 桜通大津第一生命ビル3F

 

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就労支援に熱心な栃木県 (取材後記)

 

 

栃木県就労支援事業者機構 事務局長 藤田氏
栃木県就労支援事業者機構 事務局長 藤田氏

栃木県は協力雇用主による雇用実績の高い県ですが、保護観 察所や保護司会等の更生保護団体、ハローワーク等とNPO法人栃木県就労支援事業者機構が緊密に連携を取りながら進めている結果と言えます。

栃木県就労支援事業者機構は、経営者協会や経済同友会、商工会議所連合会などの経済団体、地元の銀行、新聞社、テレビ局等、強力な面々が役員として参加してこの社会貢献活動を力強く推進しており、協力雇用主や対象者に対する支援もかなり充実しています。雇用主に対する雇用奨励金の助成をはじめ、対象者に対する就労支援や自立支援についても効果的であり、例えば就労するために必要な作業服代や当面の昼食代の援助、通勤のための自転車やメガネ等購入資金の援助など、対象者の困っている状況に応じて踏み込んだ支援を行っています。

雇用に応じて雇用主に支給される国の支援制度も充実してきましたし、全国就労支援事業者機構が実施している身元保証システムでは、被保険者により事業主が被った損害の負担や職業能力の向上を図るために取得した資格や免許等の取得費用まで、一定の条件を満たしたものに見舞金が支払われるなど、刑務所出所者等に対する就労支援の環境づくりが官民一体となって進められています。

 

宇都宮保護観察所 所長 生駒氏
宇都宮保護観察所 所長 生駒氏

取材の中で、非常に印象的だったのが保護観察所所長が語っていたこの2点。

「インターネットなどの発達で、最近は昔よりも過去を隠して働くことが困難な時代になった。過去のことがバレてしまい、突然解雇を言い渡されることもある。」

「何かを隠しながら働くことのストレスは非常に大きい。就労支援の場合はすべてを理解した上で雇用されるので、隠し事なく働けることで仕事へのモチベーションが違う」

そして、栃木県就労支援事業者機構会長が最後に語っていたのが「排除論ではなく、受け入れ論へ」というもの。刑務所などの出所者による犯罪は一般人の犯罪率の約3倍に上ります。犯罪を行い刑務所へ入る→仕事や住む場所やお金がない→窃盗や強盗をしないと生きていけない→犯罪を犯す→刑務所 という負のループを断ち切るには人間一人の力では限界があることを社会全体が認識する必要があります。 ”犯罪者だから”と排除するのではなく、事実を理解した上で受け入れることが治安維持や社会良化につながるのだな、と就労支援の持つ社会貢献の意義を感じました。

 

取材協力:

特定非営利活動法人 栃木県就労支援事業者機構 http://tochigi-shien-kiko.net

宇都宮保護観察所

株式会社 山上建設 http://yamakamikensetsu.net/

 

 


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